アウト・オブ・ヒューマンスケール
先日、大学の先輩と栃木に旅行に行きました。
そのときに出会った感覚がありました。
一応、旅行の目的は日光東照宮にお参りに行くこと。
今まで行ったことのないところに行きたい! ちょうど今年の3月10日に
改修が終わったとのことでしたので、期待を寄せていました。
建築物をみるのが好きということもあって、他の予定地は
那珂川町馬頭広重美術館
→隈研吾さん設計。新しい国立競技場のあの人です。
On the water
大谷資料館
→前日になんとなく良さそうと決めたところ。大谷石( おおやいし)の資料館
→中村拓志さん設計。広島のリボンチャペルいってみたい。 可愛すぎる。
レンタカーでしたが、 それぞれの場所までが遠くて結構苦労しました。
まあ、それで今回の旅行でここにこれて良かったー! と騒いだのは「大谷資料館」
ぼくにとってほんとにあたりでした。
資料館の紹介を簡単にいうと
これだけきいてたら、ふーーん資料館ねーと思ってしまいがちなんですが(僕も同じこと思った)
本当に度肝抜かれました。
目玉なのは資料館ではなく、採掘現場の見学です。
まあ予想として大谷石を採掘したんだったらこのくらいの感じと個人的なイメージを持っていました。
見学自体は資料館のパスを購入した人のみ行くことができ、2列に並んで地下への階段を歩いて行きます。割と細めの通路のくせに10mくらい降りて行きます。
ふう、やっと開けた空間に行けるな。。と思った次の瞬間。
目の前に広がるのは
予想を大きく上回る大空間!!!
というかこんな大きな空間見たことない笑
高さは20mくらい?壁や天上の全てが手掘りした跡が残っていました。
広大な空間はカラフルな照明で演出されており、採掘現場というより芸術的な巨大空間といった印象を受けました。
後でわかったのですがこの巨大空間は芸術の展示会場やピアノコンサート、音楽PVの撮影、レクサスの展示会、映画ドラマのロケ地
などなど、様々なシーンで利用されていることがわかりました。
正直なところ写真で見るだけではスケール感が伝わりません。静けさや光の差し込み具合の美しさなど、
時間が許す限りいたいと思える程でした。
先輩と二人でかん極まってトリップしている最中。
僕は思いました。なぜ、こんなにも自分はこの空間を魅力的と感じているのか。
それはね、アウト・オブ・ヒューマンスケール。
つまりは人間のスケールの外側だったからです。
どういうこと?となりますよね。
僕ね、昔からデパートとか、なんか大きい規模の建物に入るのがとっても嫌いだったんです。
ずっとなんでかな?と思っていたんだけれど、大人になって答えが出ました。
それは「外から見たら大きいくせに、中は同じ大きさのものの集合体」
この感覚が嫌いになってた理由です。遠目に見ていたら立派な大きい建物。
けれど、中に入ると人体寸法に基づいて作られた大きさのものが立ち並んでいる。
しかも、フロアを上がってもその均一な大きさのものが立ち並び続ける。
そんな集合体にどこか窮屈さを感じていました。
けれど、それは仕方ない。
だって効率的なことを考慮したら「その集合体」にならざるを得ないんだから。
僕は窮屈さを感じながらも「効率的」という一言だけで暴力的に片付けてしまう建物がどうも好きに慣れません。
そんな中、大谷資料館は救いの手でした。
これだけ大きな空間がそのままの大きさで完結している。大きいものを大きいスケールで受け入れる。
そんな感じがしました。
この空間は自然ではなく、人工的に作られたものです。
用途が一つも入っていない、けれど空間はそれに怖じけずに大きいままということが
僕の気持ちというか、感覚に解放感を与えてくれました。
全くと言っていいほど窮屈さは感じませんでした。
都会に行くほど、人が集まるところに行くほど
「効率的」という言葉は飛び交うことが多くなります。さも、それが100%正解のように。
それってとっても危険なことだと思います。
空間に対する感度が低くなってしまうと自分自身がいる場所へのこだわりは薄れてしまうし
面白い空間を想像できなくなってしまうからです。
心のゆとり、ではなく「感覚のゆとり」を保つためにも
大谷資料館に限らず、こういうアウト・オブ・ヒューマンスケールはいい薬になると思います。
ここまで言っときながら写真をあまりブログに載せないのは、興味がある方には行ってみてほしいからです。
資料館の表側にロックサイトテラスというめちゃめちゃお洒落なカフェもあるし
そこのガレットは絶品でした。
その写真だけ載っけます(笑)
ちょっと今日の話は建築に寄りすぎてるなぁと反省。
ちなみに日光東照宮は大大大行列のため諦めました(笑)