イワケーン日記

何かを巻き起こす良いハリケーンでいたい。建築・インテリアデザインの仕事がメインです。このブログに書いているのは正しい意見ではなく、「僕が感じたこと」の記録です。@iwakeen1017

アイディアのススメ  その2 「よく理解できないことのソースを追求するか否かで決まる」

 
 
今日の記事はきっとアイディアや説得力を強くしたいという人には役に立つ、はず笑
まあ、あまり気張らずに読んでください。
 
 
 
最近のニュースで京都の銘菓「八ツ橋」の創業年をめぐり裁判が注目されています。

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井筒八ツ橋本舗(創業1805年)がライバル店の聖護院八ツ橋総本店(創業1689年)
創業年数が虚偽であると提訴した。とのこと。
 
 
 
うーん。1689年と1805年・・・確かに年数で100年の違いというのは気になるけど。
どっちにしても、めちゃくちゃ前の話やん笑。それをなぜ今更ぶり返すの?
 
 
 
提訴された聖護院側も「ただただ驚いている。消費者に迷惑がかからないようにしたい」
と大人な対応をみせる。
 
 
 
 
メディアが京都市民にインタビューしても「年数で購入を検討したことがない」がほとんど。
インタビューをしまくって「まぁ、確かに少しは(年数が)気になる。古い方が本物ぽい」という意見が出た程度。
 
 
 
雰囲気を見る限り、井筒八ツ橋側の空気を読めない発言だな。どうでもいい。と感じがでている。・・・
 
 
井筒八ツ橋の代表も94才。まあおじいちゃんが言うてることやしなぁ。
 
 
 
こういう時って、僕も同じこと考えてしまう。
 
け・れ・ど
 
本当にそうなのか?と考えないといけない気がする。だいぶ短絡的なものの考え方になっている。気がする(笑)
 
 
よくよく考えてみると
 
 
購入者の「古い方が本物ぽい」という意見
 
→そのとおり。古い方、年数が古いもののほうが老舗ブランドとして価値が高く。何より第一号。本物です。
それに対して創業年数が不確定なお店を指差すのは当然。価値が高いものにする努力はすべきです。
自分で売ってる商品に対する執着心って本来あるものではないでしょうか。
 
 
 
京都市民に聞くことに対して
 
→単純に、京都の方ってそんな日頃から八ツ橋食べるのか?観光者じゃないの?聞くんなら。大阪出身ですが、大阪の土産をそんなに食べない。大したものないけど笑
 
 
 
聖護院側の「消費者に迷惑がかからないように」という考え
 
→大人な対応にみえるけど。消費者は迷惑なんて1ミリたりともかかりませんどちらかというとこれを機に買う人が多いんじゃない?
それなら感謝すべきかも。ネットでもどちらが好きか等の意見が飛び交うかもね。
 
 
危うくメディアと同じ考えになりそうだった。(戦っているわけではないけど笑)
 
 
と、色々考えると、時代錯誤かもしれないけど、思い切りのある発言でどちらが老舗なのか追求するというのは凄いエネルギーがいることだと思う。
94才の方とはいえ商売人。ほんまもんやなぁ。と感心いたしました。
 
 
 
こういう確証がなさそうで、みんなほったらかしにするようなこと。
よく理解できないことのソースを追求できる人って凄いと思いました。
 
 
 
と、八ツ橋の話はここまで。
このことをきっかけに、ふと気づく。
 
 
 
あれ、僕らの日常にも結構そういうことってない?
「よく理解できないけど、うんうん、やっぱそうだよね、なんとなくだけど。」
みたいなこと。
 
 
 
けれど、気づいたところで、「なぜなのか」とソースについて考えるのはとっても難しい。
 
 
答えを出すのは難しい。いつの間にか体に馴染んでいることだから、疑問にも思わない。
 
 
 
そんな時、そういうものの助けになることを教えてくれる本を知りました。
皆さんにも是非共有したいです。今日はこっちが目的なんです。
 
 
 
 
「Design Rule Index デザイン、新25+100の法則」というもの。
 
 
 
 
 
 
 
この本は3人の著者が合作したものです。
デザイン心理学、工業心理学、プロダクトデザインを行っている
「ウィリアム・リドウェル」(男)
NASAのジョンソン宇宙センターの使用性試験分析の技術担当の
「クリティナ・ホールデン」(女)
ヒューストン大学で教師を務め情報、グラフィックデザイナーの
「ジル・バトラー」(女)
 
 
 
 
この異色の経歴を持つ3人がデザインをする上で気づいたこと(内容はデザインだけではない)にそれぞれソースに着目し、法則を論じています。その数、125個の法則。すごい数。
 
 
 
 
その中で僕がなるほどねー!と思ったことをいくつか紹介します。
 
 
 
「輪郭線バイアス」
 
 
 
輪郭線バイアスとは、緩いカーブを描くモノの方が、鋭角な部分を持ったモノよりも好まれる傾向のことです。
 
 
 
トゲトゲしかったり角ばったデザインのものより、丸みを帯びたツルッとしているものの方が好まれて人に選ばれている。
女性は特にそうではないでしょうか。単純に「可愛い」というのもあると思いますが。。
 
 
 
僕たちは、鋭角な部分や尖ったりしているものを見ると、脳内の恐怖や不安を処理している扁桃体(へんとうたい)という領域が
活性化します。
 
 
 
 「隠れた脅威を見抜こうと潜在的な意識が高まった状態」と極めて似ていて、鋭利なものが感情的、あるいは美的感覚に何らかの影響を与えると推測されています。
 
 
 
 
磁気共鳴画像診断装置(fMRI)を使った実験で尖ったものに対して扁桃体が活性化、その尖ったものを好む度合いとは反比例していることがわかり
男女ともに同じことが起きたので、おそらく人間は生まれつき輪郭線バイアスを持っている、という結論に至りました。
 
 
 
 
おいおい、じゃあ全部丸みのあるデザインにしたら、万事オッケーやないかぁあ!と思ったんですが、ことは少し複雑なのです。笑
 
 
 
 
複雑なのは、尖ったものが「脳の連想処理をする部分を強力に活性化する」ことにあります。
 
 
 
 
好き嫌いだと嫌われてしまう「尖りもの」も、脳の深層の働きを促して、示唆や暗示にはピッタリなんです!
 
 
 
 
つまり、丸みのあるものより、思索を促したり、注意を引きつけるには「尖りもの」の方が勝るということです。
 
 
 
 
色んな人に好まれたいという時は「丸みのあるデザイン」
特定の人を狙い、注目や思索をさせたい時は「尖ったデザイン」
 
 
 
 
と使い分けはうまいことできそうですね。
なかなか説明しづらい感覚的なことを論理的かつ科学的に教えてくれます。
詳細を知りたければ本に参照した学術論文の名前が記載されています!
 
 
 
 
 
うーん、「ホラー・ヴァキュイ」とか「カテドラル効果」、「バイオフィルム効果」とか書きたいことは色々あるんだけど、
文章に起こすとめちゃくちゃ長くなりそうやな。。。。またの機会にします。ちょいちょい小出ししていきますね。笑
 
 
 
 
 
まあ要するに、デザインってことに縛られず、「なぜそうなっているのか?」と見逃しがちなことを、身体的、心理的な論法でアプローチして解決してくれているのがこの本の魅力的なところです。
 
 
 
 
センスは先天性なところもあるけど、後天的に磨くこともきっとできると信じるイワケーン。笑
 
 
 
 
建築学を専攻したからカタチに対する知識はあるけど、人に寄り添った学問の知識がないと途端に中身のないものみたいになってしまう。気をつけなければ。
 
 
 
 
とりあえず先週京都に行った時にお土産で買った八ツ橋を確認。
 
 
 
「本家 西尾八ツ橋 創業1689年」
 
 
 
井筒でも聖護院でもなかった。笑
 
 
 
僕が購入する時に気にしたのは一つあたりのサイズが食べやすそうかどうかです。年数は見てなかった。笑
 
 
 
何か皆さんのプラスになれば幸いです。
 
 
最後にこの本の存在を教えてくれた後輩の○栗君に感謝します。
 
 
 
ハリケーンのごとく何かを巻き起こしたい!
イワケーンでした!