イワケーン日記

何かを巻き起こす良いハリケーンでいたい。建築・インテリアデザインの仕事がメインです。このブログに書いているのは正しい意見ではなく、「僕が感じたこと」の記録です。@iwakeen1017

価値の下がり方、価値の守り方

こんにちは。イワケーンです。

「価値の下げ方と守り方」ということを考えた記事です。

・物が売れない時代になった。

・価値がどんどん下がり続ける。

・どうやって価値を守ればいいか分からない。

 と悩む方には何か参考になるかもしれません。価値に対する備忘録。

※今回はアパレルを題材にしていますが、本記事内容はどの業界にも今後起きることであると推察します。

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目次はこちら!!

 

1.「誰がアパレルを殺すのか」その答えは?

最近、服が売れなくなったという声が耳に入ってくる。また、その頻度が増した。以前、書籍「誰がアパレルを殺すのか」でアパレルに関する記事を認めた。その答えは「業界がアパレルを殺した」という結論であった。1970年代頃の業界不振が原因でありそれが現在に繋がっていると、アパレルの歴史を紐解きながら導いた答えにはそれなりの説得力があった。しかし、売れなくなった要因に、どういった価値の下がり方が構図としてあったのかはあまり触れられていなかった。今日はそこを考えたい。

▼以前の記事

iwakeen.hatenablog.com

 

2.「価値が下がった原因 」

最初に結論を言うと、近年で急激にアパレルの価値が下がった原因 は「ユニクロとメルカリ」にあると思う。大多数の人が聞いて、何となくそう思うと理解いただけるかもしれない。ただ、何となくだけなので少し深掘りしたい。この2社を「どういう会社?」と聞かれたら、僕は、ユニクロは「ある程度トレンドを押さえて、無難な服を中間層に売る企業」、メルカリは「価値を客が再定義できる、市場ではなく個人が軸となって価値を決定できるサービスを展開する企業」と答える。なぜ2社の名前をあげているのかも順次説明したい。

 

3.「ユニクロが体質を作った」

まずはユニクロから。先ほどの通り「ある程度トレンドを押さえて、無難な服を中間層に売る企業」と若干揶揄した。しかし、ユニーククロージング(独特な服)でユニクロと言っている割にやっていることは逆なのだから、言い得て妙なところがある。利益を拡大するために、散弾銃商法ではなく「おしゃれしたいけど、そこまでお金をかけたくない。だって2〜3年でトレンドが変わるでしょ」という大多数の声に気づき、パイを占める中間層に大砲を撃ったわけだ。その砲弾は見事に的中し、さらに客から「そんな高い服でなくてもユニクロでよくない?」と言われるようになったのだから他のブランドはぐうの音も出ない。デザイナーを軽視してデザイナーの意義を育成しなかった日本では、「ユニクロでよくない?」と何とも言えない「間に合わせている感」を着ることになり、2〜3年後にくるトレンドの変化のために節約する体質が確固たるものとなったわけだ。

 

これまでの高価なアパレルは早い話が「あのデザイナー、ブランドが作った」というレッテルや、「あの人は新しいデザインを着ている、私は古いデザイン」というルサンチマンを生み続け、そこに高価な値をつけて維持していたところが見受けられる。原点的な言い方であるが服の最大の機能は「裸であることを避け身体を守る」だ。肌に良い、着やすいという快適性に多少の差異はあっても、客はレッテルやルサンチマンを着る必要はない、と肌で感じ始めたのではないだろうか。その体感はユニクロによって明確になり、2,000〜3,000円程度を支払えばそれなりの服は揃うと、アパレルは身に纏う単なる「布」に収束するようになったと思う。

 

4.「メルカリが更に拍車をかける」

この状態でも厳しいのに、メルカリは更に拍車をかける。メルカリは先の通り「価値を客が再定義できる、市場ではなく個人が軸となって価値を決定できるサービスを展開する企業」だ。持っている服が30,000円だろうが、3,000円だろうが、その人にとって不要であれば何と300円で取引できてしまう。驚異的なサービスが生まれてしまった。古着屋ですら市場価格を調査して売買金額を決定するというのに、個人を軸に、例えば断捨離を目的にすると一切調べずに300円(メルカリ最低取引額)とする自体が起きるのだ。

 

5.「ユニクロとメルカリのスパイラル」

更に驚くのが、メルカリで一番取引されている商品が「ユニクロ」であるということなのだ。この2社を取り上げたことに合点がいくと思う。中間層向けの低価格でトレンドを押さえた服の販売サイクルは早い。そのため、少し時期をずらしてしまうと正規店では「もう買えない服」が生み出され、それを「メルカリで300円」で買うと言った状態に陥るわけだ。このスパイラルに客が陥ると、抜け出せず、高価な服には触れることもない。取引が行われる程、価格は下がり、価値が下がり続けるのだ。

 

ただ、ここでユニクロとメルカリを悪者にしたいわけではない。2社とも販売に関するシステムを作っただけであるからだ。2ちゃんねるで知り合った若者同士が問題を起こしても創設者であるひろゆきさんを責めるのはあまりにも筋が違いすぎる。それと似ていてシステムを構築した人や企業はそんなこと考えていなかったし、できればそんな状況にはなってほしくないはずだ。

 

6.「価値の守り方」

では、どうすれば価値を下げないで済むのか。価値を守ることができるのか。その答えは「手放さない人に買ってもらう」ではないかと思う。これだけ聞くと当たり前のように思える。一つ例え話を作った。

 

Aさんが「石」を拾った。

だが、その「石」はAさんにとって何でもない。その辺りにあるものと変わりない。だから売ろうとしない。

 

Bさんは「石」をもらった。

宇宙に関する事が大好きで、会員制の宇宙クラブでもらった。その「石」は隕石だった。だから売ろうとしない。

 

二人の「石」は同じ「石」だった。

 

という例え話です。両者とも最後には売ろうとしませんでした。しかし、理由は全く違います。Aさんにとっては、「経済的価値がない」から、Bさんは「希少価値がある」から売らなかった。この価値が「ない」と「ある」を両立させると売らない、つまり「手放さない」ことになる。手放さなければ価格を下げて売ったりする事がないので、買われた時の状態で価値は保持しつづけると考られる。つまり、手放されないような販売方法をシステムに組み込む事がこれからの販売設計に不可欠なのではないかと考えた。

 

いやいや、それって一体どんな状態!?と首をかしげる方もいるだろうと思う。僕もここまでの考えに至って、そんな状態ってあるのかな?と思った(笑)近しい例でいうと、「コストコ」がいい線いっているのではないかと思う。店舗に入れるのは年会費を支払った会員限定で購入できるのもコストコ限定のものが多い。わざわざ会員費を支払ってまで買った商品を安値で転売する人は少数である事が予測できる。つまり、価値が下がりづらいのではないかと考える。

 

これからは販売するお客を限定し、閉じたネットワークで、コミュニティの色を強くして行く事が重要になりそうだなと思う今日この頃だ。上記で長々と書いた内容は、決してアパレルだけではなく様々な業界にも起こりうる。特に、衣食住である「家・アパレル・食事」に関することはレッテル、ルサンチマンを含みやすいのでこれからも激変しそうだ。あと車とかね(笑)

 

今日はこんなところで。